溶接痕除去/ステンレス溶接

t=1.2, SUS304-2B材のステンレス製品を作りました。

お客様の要望として、以下の内容がありました。

  1. 製品は手で触れる部位が多いためエンドユーザーが絶対にケガをしないように仕上げること。
  2. 見てくれを重視した製品であるため溶接痕が無いようにすること。

1番目の要望は切り小口のバリ取り・面取り等を施して触ってもケガの無いように対応することができます。しかし、2番の溶接痕については完全に除去することは難しい事です。

ステンレス部材を溶接する際の方法として、スポット溶接で接合するか、またはTIG溶接で接合するかのいずれかの方法を考えていました。そこで、この2種類の溶接方法で溶接痕除去の検証をすることにしました。

【検証実験】

スポット溶接について、以下のトライを⾏いました。
①電圧【電流)を10種類可変させてトライ
②溶接できている、できていないの限界を判定
③スポット溶接部のコゲ取り、バフ、ヘアライン磨き

スポット溶接部のコゲ取り、バフ、ヘアライン磨きをする前と後では少々ですが、溶接痕が目⽴たなくなっています。しかし、溶接したことによる母材の溶解・溶融のヘコミを完全に無くすことはできません。

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スポット溶接後に、スパッターを除去しましたが、上記写真の右側のコゲ部と左下のコゲ除去後の両方の箇所を見てもわかりますが、ヘコミができており、溶接痕を消すことはできません。

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製品の至る箇所にヘコミができますので、確かに見てくれはあまり良いとはいえません。表面を研磨して、バフ掛けすれば痕を消すことはできるかも知れませんが、製品全面の研磨とバフ掛けは工数の関係で不可能です。

 

TIG溶接(点付溶接)

以下の写真はSUS-1.2t 板どうしをTIG 溶接した状態です。裏面からふたつの部材を4点留めによる点付溶接を施しました。

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以下の写真は表面を溶接後にバフ仕上げ及びヘアライン処理を施しています。TIGの点付溶接は、ほとんど溶接痕が目⽴ちません。微小の凹凸はありますがスポット溶接ほどではありません。

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以上の検証結果をもとにお客様にTIG溶接をお奨めしました。当初、お客様(設計者)の図面にはスポット溶接との指示がありましたが、見てくれ重視製品ということで検証後にお客様に納得していただいた上でTIG溶接での部材接合に変更となりました。

ちなみに図面への記載は文字による指示です。溶接痕除去記号はJIS溶接記号には定められていないと思います。図面に「※ステンレス溶接痕除去の事」、「※ステンレス溶接痕無きこと」、「※スパッタ除去及び溶接痕除去」、「※ステンレス要焦げ取り」などと記載しておき、のちほど設計者と製造者が話し合いをすればよいのではと思います。

スポット溶接痕を完全消去するということは、とりもなおさず板表面を「削る」ということですので、板厚は薄くなりますし、強度や面剛性が減少することを意味します。また、工数は格段に増えますので、完全消去は非常に難しいと思います。溶接方法をTIG溶接にすることで板全面の研磨を避けることができましたので、結果的に正解でした。

 

 

 

 

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